【日本海側はなぜ暑い?】2023年の全国最高気温ランキング(9月4日更新)

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8月下旬に最高気温を更新した地点が出現!

8月18日付けでご紹介した「2023年の全国最高気温ランキング」

8月下旬に全国的に猛暑が続くことを見越して、今年の最高気温を編集部で調べた結果をご紹介しました。

今回は8月が終わって今年の最高気温ランキングに変化が出たのかをご紹介できればと思います。

結果的に8月下旬も猛暑が続いたわけですが、この8月下旬の時期になって、今年の最高気温記録を更新した地点が2か所ありました。ランキングにもわずかながら変化が出ています。

そしてこの2か所にはいくつかの共通点があるのです。

一昔前では、意識していないとなかなかイメージがしにくい現象ともいえ、まさに令和の夏の暑さの新常識といえるかもしれません。

まずは本日、9月4日現在の全国各地の今年の最高気温を調べたランキングの結果をご紹介し、そのあとにこの2か所の共通点や令和の夏の暑さの現象について、深堀りしてまいりたいと思います。

それでは見ていきましょう!

【日本海側はなぜ暑い?】2023年の全国最高気温ランキング30

※記事執筆時点(9月4日時点)のランキングです
※温度が同じ場合は、順位が重複します。ご了承ください。

順位計測地点所在地最高気温計測日
29位八王子東京都39.1℃7/12
29位八幡岐阜県39.1℃8/12
23位館林群馬県39.2℃7/16
23位美濃岐阜県39.2℃7/27
23位熊谷埼玉県39.2℃7/31
23位横手 NEW!秋田県39.2℃8/31
23位多治見岐阜県39.2℃7/26
23位中条新潟県39.2℃8/9
20位糸魚川新潟県39.3℃8/10
20位愛西愛知県39.3℃7/27
20位弘前青森県39.3℃8/10
14位長岡新潟県39.4℃8/15
14位豊岡兵庫県39.4℃8/5
14位新津 NEW!新潟県39.4℃8/31
14位所沢埼玉県39.4℃7/16
14位岐阜岐阜県39.4℃7/27
14位佐野栃木県39.4℃7/27
11位高田新潟県39.5℃8/14
11位豊中大阪府39.5℃7/27
11位伊勢崎群馬県39.5℃7/30
9位村上新潟県39.6℃8/9
9位寺泊新潟県39.6℃8/15
5位鳩山埼玉県39.7℃7/26
5位桐生群馬県39.7℃7/16
5位松浜新潟県39.7℃8/9
5位三国福井県39.7℃8/9
3位枚方大阪府39.8℃7/27
3位三条新潟県39.8℃8/14
1位梁川福島県40.0℃8/5
1位小松石川県40.0℃8/10

1位は石川県小松と福島県梁川が40度で並び立つ結果は、前回と変わりません。

今回、新たにランクインしたのが、14位の新津(新潟県)、23位の横手(秋田県)の2か所。
いずれも8月最終日となる8月31日に、新津は39.4度、横手は39.2度を記録しました。

今年の最高気温の傾向として、「日本海に面した地点のランクインが目立っている印象がある」ということは、前回の記事でもお話ししましたが、今回ランクインした新津、横手ともおおまかに分けると日本海側の地点になります。

なぜ、ここまで日本海側の地点のランクインが続いているのでしょう?

日本海側と太平洋側の気候の特徴

日本の多くの地域はおおまかに日本海側気候と太平洋側気候に属しています。
両者は季節風(モンスーン)の影響を大きく受けています。

季節風は季節によって同じ方向から継続的に吹く風のことをいいます。
夏は太平洋側からの南東の風、冬は大陸側からの北西の風が日本の代表的な季節風なのだそうです。

夏は、太陽の日射熱を受けると、暖まりやすい大陸側の空気が上昇して、太平洋側から空気を引き込みます。この引き込まれる空気の流れが夏の典型的な季節風です。

夏の季節風は太平洋の水蒸気を多く含んでいるため、日本の太平洋側の地域は高温高湿となります。一方、季節風が山脈を越えるとき、上昇する空気は多くの水蒸気を失うことになるため、日本海側の地域は比較的乾燥して高温になるというのです。

これは今に始まった現象ではなく、以前から言われていたのですが、昨今の気温上昇によって最高気温がクローズアップされるようになって、改めて気象の常識として耳にすることが多くなったのではないでしょうか。

日本海側はフェーン現象によって猛暑が継続した

このような夏の季節風による日本海側の乾燥高温の現象は、フェーン現象と呼ばれています。
専門的な用語となりますので、詳細は以下の専門的なサイトをご覧ください。

フェーン現象とは?フェーン現象の原因や原理、起こりやすい季節
お天気.com(2023年9月4日参照)

お天気.comの説明によれば、フェーン現象とは「気流が山越えをして降下する風下側のふもとでは、乾燥して気温が高くなる現象のことをいう」のだそうです。

この夏、特に8月前半の全国の天気予報では、
「日本海側はフェーン現象で猛暑継続」
「「フェーン現象」日本海側で気温上昇…40℃迫る所も」
といった概況をよく目に耳にしたと思います。

ちなみに、お天気.comでは、「冬に北西の季節風が吹くと、太平洋側ではフェーン現象が起こっていますが、そもそもの気温が低いために、フェーン現象は目立ちません」と解説しています。

気温が一昔前のように夏日、真夏日程度であればことさら取り上げられなかったかもしれませんが、昨今の気温上昇によって注目されている側面もありそうです。

「日本海側⇒雪国⇒雪が降る地域だから夏は暑くないだろう」というような、以前の凝り固まった知識は、令和の夏の酷暑には通用しないということかもしれません。

旅行やドライブ、避暑を考える際は、今の状況をしっかりと把握して、旅先を選ばれるのが良いかもしれませんね。

今年はもうこれ以上最高気温が更新されることはないのかもしれませんが、グリストでは引き続き最高気温の推移をモニタリングしていきたいと思います。